コーヒー豆の挽き目の細かさについては、「ザラメぐらいの大きさ」などで表現されるようにお伝えしづらく、どのくらいがベストなのかモヤモヤしている方もいらっしゃるのではと思います。
このコーヒー豆の挽き目とは、豆から粉にした場合の粒の細かさです。
この細かさはお使いのミルの仕様にもよりますが、確実に風味に影響し、場合によっては間違ったセッティングを続けてしまっている場合もあります。
今回は、この「細かさ」がコーヒーの味にどう影響するかのお話になります。

コーヒーの挽き目は、

・細かい → 濃くなる

・粗い → 薄くなる

これが一般的な認識だと思うのですが、例えばコーヒーが苦い時に、粉の挽目を粗くするというのは逆効果になる場合もあります。

どういう事かというと、挽目を粗くした場合「苦味」をマイルドしてくれる「コク」が少なくなり「苦味」ばかりが目立ったコーヒーになってしまうのです。

もし今の飲まれているコーヒーの後味が「水っぽく、苦味が目立つ」ようであれば、今回のお話を参考にしていただく事でかなり改善できますので、ぜひ参考にしてください。

ポイントは、「水っぽく薄いのに、苦い」場合には、逆に濃くなるように抽出するのです。

もう少し詳しく説明していきます。

コーヒーの風味は、以下の2つのグループに分けられます。

【コーヒーらしさ(スパイス)】
・苦味
・酸味

【おいしさ(旨み)】
・甘み
・コク

「苦味」と「酸味」の質や量は焙煎時に決まり抽出時に調節する事は難しく、風味の中で最も目立ちやすい性質があります。

そして「甘み」と「コク」の量は、抽出時の豆の細かさに左右されやすく、細かくする事でより多く抽出されます。

「甘み」と「コク」は、「苦味」と「酸味」の刺激性をマイルドに包み込み、甘い香りのコーヒーにしてくれます。

しかし、より細かくした方が良いかと言うと、そうでもありません。「苦味」と「酸味」も同じように抽出されやすくなるりますので、重く苦いコーヒーにならないように適度な細かさである必要があります。
目安は、ちょうど良いコーヒーの濃度になっている事です。

前の章「コーヒー豆の1杯分の分量」でも、風味の調節について触れていますのでここで簡単におさらいです。

・分量で調節
( 重く苦い → 多い / 薄く苦い → 少ない )

・粉の細かさで調節する。
( 重く苦い → 細かすぎる / 薄く苦い → 粗すぎる )

毎日飲んでいるコーヒーが、分量と細かさの二つを見直すことで見違えるようにおいしくなることが有りますので、ぜひお試しください。

ちなみにしびれるような数時間経っても消えないあと残りする苦味のコーヒー豆は、残念ですがこの方法でも改善する事ができません。
最近はそんなコーヒー豆に当たることは少ないと思いますが、もしも手元にある豆がこの場合は、いつもより細かく挽いて、抽出時のお湯の投入量を1/2までにして、少なめに抽出します。すると少量で濃いめのコーヒーができますので、お湯や牛乳を足して適度な濃度や量にしてお試しください。
理由は、コーヒーの旨みである甘みやコクは、抽出の前半に集中して抽出され、後半は極端に言うと濃度の調節になります。そして後半も苦味や雑味が出続けるので、苦味と雑味が増えないように、抽出の前半部分だけで抽出をやめてしまうという考え方です。

良いコーヒーは、キレの良い苦み、芳醇な甘み、ジューシーな酸味、まろやかなコク。そして冷めてもおいしく、飲み終わりにもう少し飲みたいと思えるすっきりしたコーヒーです。

我々コーヒーを焙煎する者の最大の使命であり、コーヒーブームによりそうしたおいしいコーヒーが比較的に手に入りやすくなっています。
今回のお話をご参考にしていただき、ご自宅でも最高においしいコーヒーをお楽しみください。